HUMAP  兵庫・アジア太平洋大学間ネットワーク Hyogo University Mobility in Asia and the Pacific

2022年度『派遣』

  • 氏名:Y. R. [ 日本 ]

  • 受入期間:2022年10月17日 ~ 2023年07月24日
  • 受入大学:キール大学
  • 在籍大学:神戸大学


留学のきっかけ、目的

 私が留学を志すきっかけや目的は大きく分けて四つあります。
 第一に、小さい頃から洋楽が好きだったことが海外に興味を持つ最初のきっかけになりました。初めの頃はその歌詞自体に興味はなく、そのポップで印象的なメロディーやリズムに惹かれていただけでした。しかし、段々とそれだけでは満足できず、その歌詞の意味にも興味を持つようになりました。翻訳サイト等で歌詞の意味を検索しているうちに、日本人は使わないような表現がたくさん使われていることに驚き、新鮮に感じたことを覚えています。それ以降は、これらの歌の歌詞を翻訳サイトを通さずに自力ですらすら理解できるようになったらどんなに素敵だろうと考えたものでした。お気に入りのアーティストの発音や歌い方をなんとなく真似ているうちに、日本以外の国はどのような場所なのだろうと、漠然と思いを馳せていました。これが、私が留学をしたいと考えるに至った第一歩です。
 第二に、日本では学べないようなことを学修したいと考えたからです。私が大学に入学した際、神戸大学の経営学部の留学プログラムは「外国語で経営を学ぶ」という高い志のもとに推進されていると知り、感銘を受けたことを覚えています。それからは、ただ語学力を伸ばすために留学するのではなく、自分の専門分野を外国語で学び、新たな発見や知見を得たいという気持ちになりました。外国語で学問を学ぶことにより、語学力の他にも、異文化理解の力やコミュニケーション能力が鍛えられると考えています。また、特に経営学においては、日本では研究が未熟な分野もあり、海外でだからこそ勉強できる内容も多くあります。留学先では自分の専門だけにとらわれず、海外でしか学べないようなことも勉強し、経営学に対する知見や理解をさらに深めたいと思います。
 第三に、今とは違う環境に身を置き、自分を成長させたいからです。大学でチューターとして海外からの交換留学生と触れ合い、彼らの考え方や文化の違いに驚き戸惑うと同時に、その違いが面白いと感じました。育ってきた環境が人の考え方や生き方に大きく影響を与えるのだと改めて感じました。彼らの勉強熱心さや切り替えの早さ、どんなことにも挑戦しようとする姿勢は私も見習いたいと考えました。留学先では様々な価値観を持った優秀な学生たちと生活環境を共にします。その中で大変な思いをすることもあるでしょうが、そのような経験も含めて自分を人間的に成長させてくれると信じています。
 第四に、私は将来、グローバルに活躍できるビジネスパーソンになりたいと考えているからです。その目標を達成するにあたり、外国語を運用しながらコミュニケーションをとる能力や、相手の価値観や文化的背景を理解しながらコミュニケーションをとる能力が必要だと考えます。そのためには、実際に異国の地に自ら飛び込み、そこで現地の人々や世界中の国々から集まった人々と生活を共にすることほど効果的な方法はないと思います。そのような環境下で、自分が今まで持っていた価値観や考え方のみにとらわれず、さらに広い視野で物事を考えられるようになりたいです。そして、将来は国境を越えて人々や物資を繋げられるようなビジネスパーソンになりたいと考えています。
 以上が私が留学を志すきっかけや目的です。支えてくれた方々への感謝を忘れずに実りのある留学にしたいと思います。

留学中の体験

 ドイツに留学して4ヶ月が経ちました。楽しいことも大変なことも含め様々な経験ができ、非常に充実した時間を過ごせていると思います。
 普段は英語で行われるマスター向けの授業を履修しています。日本の大学で学んでいた学部レベルの授業からさらに踏み込んだ内容で、周りの生徒のレベルも高く、難しいと感じることも多いです。しかし、授業の中で企業見学に行ったり、実際の経営者が登壇したり、グループディスカッションを通して授業を進めていったりするなど、日本ではなかなかできないような経験ができ非常に刺激的です。生徒はヨーロッパからの留学生が多く、国籍も年齢もバックグラウンドも母国語も違います。そんな生徒たちと英語でひとつのことについて議論をするのはとても新鮮な感じがして面白いです。もうすぐ前期のテスト期間ですが、生徒同士で助け合ってみんなで頑張ろう!という雰囲気があります。初めてのテストで不安もありますが、良い準備をしたいと思います。
 休日にはよく旅行をします。シェンゲン協定によりドイツ国内のみならず協定加盟国への旅行へ気軽に行くことができます。ヨーロッパは歴史的な街並みや建造物が多く残っており、街を歩くだけで楽しいです。また旅先ではいつも新しい出会いがあります。たまたま駅やレストランで隣に座った人と仲良くなるという経験もしました。このような経験は日本ではなかなかできないのではないかと思います。ヨーロッパは日本に比べオープンな性格の人が多く、様々な人と知り合い、新たな考え方や価値観に触れるのは本当に面白い体験です。旅の途中では日本では考えられないような理不尽な体験をすることもありますが、それも良い経験の一つだとポジティブに捉えるようにしています。
 ドイツに住み、様々なバックグラウンドを持つ人と日々を過ごすことにより、自分の人生観が変わっていくのを感じます。もっと自由に貪欲に自分の生きたい人生を生きたいと考えるようになりました。現地の友達の大学卒業後の夢は本当に多岐に渡っていて、聞いているだけでワクワクする感じがします。彼らは自分のやりたいことに実直で、そのために何が必要かを考え、行動に移しています。私は現在は就職活動の時期ですが、ここで得たインスピレーションを自分のキャリア選択に活かしていきたいと考えました。
 初めての海外の生活で慣れないことも多いですが、現地の友達に支えられながら何とか生活しています。この4ヶ月で言語力や経営学に関する知識の他、精神的にも鍛えられたと感じています。あっという間の4ヶ月間だったので、残りの期間も悔いのないよう過ごしていきたいです。

留学の成果、将来の目標

 振り返ってみると、本当に素晴らしい留学生活だったと感じています。大変な思いをすることもありましたが、その全てが自分の糧になったと胸を張って言えます。
留学前に掲げた、「日本で学べないようなことを学修する」や、「今とは違う環境に身を置き、自分を成長させる」といった目的は、概ね達成できたと感じています。ドイツの授業は一つの分野を深く掘り下げていくものが多く、その中で特定の分野についてより詳しく学ぶことができました。また、日本とは全く違う環境の中で、多様なバックグラウンドを持った学生達と触れ合い、自分の価値観がアップデートされたと感じます。
 それらの留学の目的は達成できた上で、私が最も強く感じたことは「人と人は分かり合うことができる」ということです。
 この留学で、様々な人と関わってきました。その中で、この先一生付き合っていきたいと思えるような友達との出会いもありました。彼らとは日常会話の多くは英語で行いますが、彼らも私も英語のネイティブスピーカーではありません。自分の伝えたいことを100%伝えるのは困難ですし、相手の言いたいことを理解するのに時間がかかることもあります。それでも、一生付き合っていきたいと思えるような信頼関係を築くことができるのです。
 そのために大切なのは、「分かり合えると信じる心」だと思います。違いを共有し、それを楽しみ、たくさん話し合えば、国籍や育った環境は関係ありません。分かり合うことを諦めなければ、たとえ見た目や生まれ育った環境、言語や習慣に違いがあったとしても、それらを乗り越えて信頼関係を築くことができるのだと学ぶことができました。
 それに加え、留学を通して日本の素晴らしさを再確認することができました。ドイツをはじめ、留学中に訪れた国がどこも素晴らしい場所であったように、日本もとても魅力的な国だと感じました。日本を外から見てみると、日本で暮らしていた時は見えなかったものが見えてきて、新鮮な印象を抱きました。制度や風土や食事など、本当に恵まれた環境にいたことを思い知らされました。
 中でも、日本人の性格は、世界的にもユニークで面白いと感じました。消極的で周りを尊重し過ぎる傾向は度々批判されますが、私は日本の一つの美しさだと思います。もちろん課題もたくさんあるでしょうが、日本人として誇りを持って生きていきたいと思えるようになりました。
 帰国後は英語やドイツ語の勉強を継続して行い、留学生とも積極的に関わっていこうと思います。ドイツへの留学は終わってしまいますが、留学を通した学びに終わりはありません。そして、それらを通し、将来は社会から必要とされるような人間になりたいと思います。その過程の中で、留学で得た様々な経験が必ず自分を支えてくれると信じています。最後に、今回の留学を支えてくれた全ての関係者の皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。